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「何ずっと見てんの?」
友人の國田がそう言った時、私は空を見ていた。
「空」
私がそう答えると國田は笑い出した。
その様子を見て真面目に言ったのにと少し不貞腐れる。
そして空から目を離した私だったが國田がツボにハマって笑いだすとまた空を見上げた。
今日は雲が理想的な量の晴天だった。
透けてそのまま宇宙が見えそうな空色と眩しい日光は何故か私の視線を釘付けにした。
それこそ友人が笑い転げるくらいに。
笑いやんだらしい國田が私の肩を叩いて「帰ろうぜ」と言ってきた。
そこから真っ直ぐ二角ほどすぎた交差点で私は國田と別れた。
手が千切れそうなくらいに手を振りながら声が涸れるどころかひび割れそうなくらいな大声で叫ぶ國田が私が彼と会った最後の景色だった。
その日の翌日、学校に登校すると國田が交通事故で死んだことを知った。
そう言えば今日は1人で國田と一緒じゃなかったなと気づく。
それくらいだった、國田の死は。私の日常の中では死んだ瞬間ですらその後も國田は生きていた。
シュレディンガーの猫というやつがあったのかもしれない。あるいは知らぬが仏というやつかもしれない。
どちにしろ私は國田が死んだ時は悲しまずその後ようやく気づいて悲しんだ。
それを私は歪だと思った。
その日の帰り道、私は空を見上げた。
見えたのは私の日常の空だった。
お題空に向かって
ここまで読んでくださってありがとうございました。

4/3/2025, 1:21:08 AM