はじめ

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その視線の先に、何があるのか。
何を見て笑い、泣き、怒り、そして喜ぶのか。

艶やかな、束ねた髪の毛が風にそよぐ。じっと見ていると、彼女が振り返った。
「どうした?」
不思議そうに、でも笑顔で。
「何でもないよ」
そう答えると、
「相変わらず、何を考えてるのか分からないね君は」
微笑む。
鮮やかな、南国の花のようだ。
(彼女こそ、分からない)
常に鮮やかに美しく、凛として、笑顔で。
人々から人気があって、友人も沢山で。
「なんで」
口から出ていた。首を傾げる彼女の視線に押されて、
「なんで私と一緒にいてくれるの?」
顔が赤くなる。羞恥。でも。
(何を考えているのか、分からない奴と一緒にいる意味は)
「それはね」
彼女が、こっちの顔を覗き込んで、
「知りたいから」
そう、言った。

3/12/2024, 1:58:39 PM