やなまか

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闇を吸い、青く潤む瞳が美しいと思った。

オレがただ見惚れていると、彼女は小動物のように小首をかしげる。黒髪がさらさらと素肌に落ちていった。
「どうしたんですか。へんですよ、さっきから急に黙ってしまって…」
彼女はまだ男の狂気を知らない。
そのまま何も知らないで居て欲しい理性と、散々に引き裂いてしまいたい葛藤がせめぎ合う。
どうしろって言うんだ…。

恐ろしい激情に耐えきれず息を漏らすと、無垢な指先が額に触れて頬を撫でていく。
「触んな…」
きっと今、オレは肉食獣のような顔をしている。
僅かな光の中、柔らかい肌が白く浮き上がっていた。こちらの牙も知らずに華奢な身体をひねり無防備に仰ぎ見てくる。どんな拷問だよこれは。
お前さんを守らせてくれよ頼むよ。

10/28/2023, 2:01:41 PM