とある二人

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「もし嫌じゃなければ……」

恋人が差し出したのは一冊のノートだった。

「今日あった事や何を思っていたのか、数行でもいいから書いて交換しないかい?」

面倒臭いと思わなかった訳では無いが恋人がどんな事を書いてくれるのか知りたくて頷いた。
普段文章なぞ作成する事がない自分は恋人が望むものを書けるだろうか。
「期待するな」と釘は刺しておくと恋人は嬉しそうに笑った。

「じゃあ最初は僕から書くね!」


嬉しそうにノートを抱えて部屋に戻ったのが昨日の夜の筈だったが、朝身支度を整える為に部屋から出ると足元にノートが置かれていた。
ノートの表紙には丁寧な文字で『次は君の番だよ』と記載された付箋が貼られている。


ペース早すぎないか?とは思ったが案外楽しみにしていた自分も居て、寝巻きのままだが恋人の気持ちを綴った文章を読む為に再度部屋に戻った。





僕たちの日記帳

8/26/2024, 10:26:05 AM