花と米が舞い鐘が歌う今日の佳き日。白に包まれた二人を囲うように人々はその手にその声にその表情に祝福を乗せる。
おめでとう、オメデトウ、御目出度う。おしあわせに、オシアワセニ、お幸せに。四方八方から聞こえる祝いの言葉を真似するように吐き捨てる。
「おめでとう。おしあわせに」
ありがとう、と微笑む君は知らない。お幸せに、と願われるまでもなく幸せそうに寄り添う二人は一生知ることもない。
ここに集まった誰一人として。想いのひとつも告げられなかった臆病者の気持ちなど、本人以外の人間は知るはずもないのだ。
/神様だけが知っている
7/4/2023, 11:41:34 AM