“夕陽がどうして赤いか知ってるか?”
“光にはいくつか色があって、その中でも赤が一番遠くまで届くからなんだってよ“
そう彼に教えてもらってからつい、夕焼けを見る習慣がついてしまった。
「綺麗だな」
そしたらいつの間にか教えてくれた本人がいた。
「よっ、お前もここ好きだな」
時計台に2人で座り、特に会話もないまま夕陽を眺める。
この時間が堪らなく好きだ。
うまく言葉にできないけどずっとこのまま、時が止まってしまえばいいのにと何度思ったことか。
不意に彼の方を見ると目が合う。
燃えるような赤いをしていると思えば瞳は綺麗なエメラルドグリーンで引き込まれてしまう。
「なんだよ、人の顔ジロジロみて」
「べ、別に。なんでもない」
「そっか」
そう言って笑えば彼の視線はまた夕陽に向く。
夕陽よりも赤い髪の彼。
アジトにいても他の誰より先にアクセルを見つけられるのは、きっと彼に教えてもらった理由だけじゃない。
-好きな色-
6/21/2024, 4:59:01 PM