いらない

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やさしい嘘

きみはいつだって僕に嘘をつく。

もうそばにいてくれなくていい。泣いてばかりだったあの頃とは違う。知らないだけで私は強くなったから大丈夫。そばにいられるほうが迷惑だ。いつまでも支えている気になってるけど、私はそんな甘ったれじゃないから。感謝はしてるよ。でももういらないや。バイバイ。

そう言って手を振った彼女の背中を見送る。
いつもは背筋をぴんっと伸ばして歩くのに、背中が小さく丸まって、肩は小刻みに揺れている。
僕は知っている。ひとりになったら泣くんだろう。
ごめんなさい、許してって言いながら人知れず泣く姿が目に浮かぶ。

僕を手離すことが僕のためだなんて思って、僕の手を離したきみはなんて馬鹿なんだろう。
やさしい嘘で自分自身を傷つけてボロボロになっていく。
そんなきみがなによりも愛おしい。

ぼくはきみの嘘を受け入れてやるほどお人好しじゃないから。
絶対に離してなんかやらない。


1/25/2025, 1:59:13 AM