僕には双子の娘がいる。ちょうど先月に6歳になり、みるみるうちに成長していっている。最近はお家でかくれんぼをするのにハマっているらしく、僕は鬼役をいつもやらされる。
「1ぷん数えたら、さがしていいよ」と長女の方が言った。
「目瞑っててね」と次女が言った。
「わかった、この通り何も見えないから、隠れてていいよ」と僕は両の手のひらを目に被せながらそう言った。
キャーキャーと騒ぎ立てながら、2人は家中を駆け回っていった。どうやら、この年代の子達はかくれんぼが好きらしく、学校で流行っているものを聞いても「かくれんぼ」としか答えない。改めて、かくれんぼという遊びが如何に優れているかを考えさせられる。遡れば、古来中国の宮廷で行われた遊びで、日本には平安時代以前に伝播されたと言われている。そうなると、おおよそ1000年は子供の遊びの中核をなしていたと言える。ルールの単純さ、必要人数の柔軟性、行える環境、危険性などどの観点から見ても優れている。僕が子供の頃は、かくれんぼから派生した缶けりや、ポコペンなどが人気であった。鬼は子を見つけるために陣地から出ないといけないが、離れれば離れるほど陣地への侵入を許し、敗北するリスクが大きくなる。よく出来たゲームだ。あのスリルをもう1度味わいたいものだ。
1人で思考に耽っていると、後ろに何かしらの気配を感じた。振り返ろうとした途端、おしりの穴に強い衝撃が走った。
「わぁ」と僕は驚いて声に出した。振り返ると、娘たちが嬉しそうに笑っていた。そして、笑うことに満足すると、お面を取り替えるかのように、頬を膨らませた顔に素早く切り替わった。
「もう1ぷん経ってるよ。おそい」と長女が言った。
「1ぷんは60びょうのことなんだよ」と次女が言った。
「確かに1分は60秒だったね。1分を200秒かそこいらと勘違いしてたみたいだ。ごめんね」と僕は申し訳なさそうに言った。
「今度はタイマーを使うから、安心していい」
「タイマーちゃんと使える?」と長女が言った。
「1ぷんなら、ふんってところを1回押すんだよ」と次女が言った。
「使えるさ。今教えてもらったからね」と僕は得意げに言った
どうやら、6歳児というのは僕が思っている以上にしっかりしているらしい。
1/26/2025, 2:27:44 PM