▶14.「秋風」
13.「また会いましょう」
12.「スリル」
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1.「永遠に」近い時を生きる人形✕✕✕
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秋。
風は向きを変え、冷たい空気を運んでくる。
気温が下がり始めたのに気づいた人々は夏の間緩めていた衿口をしめて、冬支度を始める。
✕✕✕も体を保温するため、古着屋に外套を買いに来た。荷物を軽くしたい旅人は季節物をその都度買い換えることが多い。
衣服の生産が手作業であるため、どの町にもある古着屋は衣服の手入れも商売にしていて、重要な役割を果たしていた。
(さて)
保温性だけを見れば冬用のものを着用したいが、秋の始まりでそれは浮いてしまう。
かといって夏の風通し重視の日除けでは体が冷えすぎてしまう。
(それは、良くない)
冷たすぎる手では、うっかり人に触れた時ひどく驚かせてしまうから。
(袖口に毛皮を縫いつけようか)
そんな絶妙な冷たさを運んでくる秋風は、また吹き始めたばかり。
11/15/2024, 6:54:47 AM