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 甘くてほろ苦いチョコレートは舌の熱で緩やかに溶けていく。とろりと包み込む幸福感。喜びを噛み締めながら、もう一粒へと指を伸ばす。
 高校生になって始めて母親以外からチョコを渡された。縁遠いものだと諦めていた存在をようやく手に入れた喜びはひとしおだ。ぼんやりと指で挟んだチョコトリュフをまじまじと眺めた。本格的に見えるのに、上から飾られたチョコペンの愛嬌で相殺している。おそらく動物を描いたつもりであろうそれをぱくりと口に含んだ。コクと甘さに頬が緩んでいく。何個でも食べたいと思える逸品だ。本当に俺が食べてもいいものなのだろうか。義理ではなく手作りであり、恐らく本命。そしてここで問題が浮上する。渡してきた相手が俺と同じ男であり、クラスの担任だからだ。

2/14/2023, 2:04:09 PM