どこか遠い遠い街へ行ってしまおうか。
お前のいない、誰も知らない街へ。
そうしたら少しは楽になれるのだろうか。
……無理だろうな。
鳴り出すスマホ、
「置いてくなよ」と拗ねる声、
淋しげな表情。
全部、いとも簡単に想像できてしまう。
お前から与えられるものが
悲しみ苦しみだけだったなら、
俺は迷うことなく旅立てただろうに。
それより俺を満たすのは、
お前がくれる歓喜、悦楽、……幸福。
だから離れられない。
もしいつか本当にどうしようもなくなったら、
その時は遠くの街へ行って。
切り花のようにそっと、枯れる日を待つよ。
2/28/2023, 10:59:05 AM