それでいい
失敗した。
心の中が、ぐちゃぐちゃになる。
泣きたいわけじゃない。
でも、すぐに涙がこぼれるの。
なんでかな。
なんで私って、こんなに弱いんだろう。
上手くいかない。
そんなの当たり前のことなのに、
悔しくて、
できない自分に嫌気がさして、
気付けば目の前が滲んでいる。
必死に目を大きく開けたり、
周りにバレないように少し上を見あげたり。
お願いだから、私の目からこぼれ落ちないで。
そう思ったのも束の間、
ついに瞬きをしてしまい、
音もなく、弱さの塊が落ちる。
「…悔しいか」
その言葉に顔を上げる余裕もなく、
ただただ、頷いた。
これ以上、見ないで。
こんな弱くてちっぽけな私を、見ないで。
そんな私の思いに反して、
目の前の相手から発された言葉は予想外のものだった。
「…ははっ、かっこいいなぁ」
思わず、パッと顔を上げる。
しっかりと、目と目が合った。
まるで、懐かしいものを見ているかのような
温かく包み込んでくれるかのような。
なんで…と思わず尋ねると
「その涙は、諦めてない証拠だからだよ。」
そう口にした。
そして、はい、と私の手のひらに飴をひとつ置き、
ひらひらと手を振りながら歩いていった。
飴を包んでいる紙には、
なんだかへんてこな絵がかいてあって
少し笑ってしまった。
すぐに、涙がこぼれる。
でも、それは決して弱いからじゃない。
だって、この涙は、
失敗したのが悔しくて、
それでも私はまだ出来るって、自分を信じているから。
次は上手くいくようにって、
前を向くために流した涙なんだ。
だから、それでいい。
それで、いいんだよ。
4/5/2026, 2:39:50 AM