八重歯の君

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子どもの頃
毎年祖父母の家に遊びに行った
田んぼの脇の用水路の水の冷たさ
青々とした稲穂にトンボが飛び交い
夜には満天の星と
数え切れないほどの蛍が舞う
おままごとをする私に祖父は優しく微笑み
眠る時は祖母がいつも桃太郎を話してくれた

もう二度とやって来ないあの風景を
ずっと忘れることがないように
こうして目を閉じて
時々時間を旅するんだ

「夏の忘れ物を探しに」

9/1/2025, 4:22:23 PM