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安らかな瞳

ちょっと思い浮かばない「安らかな瞳」。

3年前に亡くなった母の写真が、机の上に置いてあるのだが、その瞳は安らかである。私が撮影した。

つまり、実の息子を見ていた訳だが。

けれど、考えてみると遺影になった人の瞳は、大抵は安らかに見えるような気がする。

母に限らず、父も、ジィちゃんも婆ちゃんもそのように見える。

それは、親しい死者に対して、どうか安らかでいて欲しいと、こちらが願っているから、そう見えてしまうのだろうか?


他に、「安らかな瞳」で思い浮かんだのは、

広隆寺の半跏思惟像だった。

国宝第1号、仏像に興味がない人でも
イメージできそうな有名な美しい仏像である。

細身の身体で、頭と身体はやや前かがみになっており、

美しく、たおやかな指が、ちょっとだけ頭を支えているようにも見える。

どのようにして、衆生を救うべきか、深く思考しているとも云われる。

釈迦入滅後、56億7000万年後に現れる弥勒菩薩なのだとされるが、

そのような事は、どうでも良いくらいシンプルで美しい。日本の美の究極の1つであろう。

瞳はあんまり、見えないけれど。



3/15/2024, 2:35:12 AM