『10年後の私から届いた手紙』
教室の窓からこぼれる暖かな光。
社会科の教師が語呂良く覚えればいい、なんて読み上げる年号。優れた人間ばかり出てくる社会科は嫌いだ。
そして黒板を滑るチョークの心地よいリズムに堪らずうとうと、と船を漕ぐ。
暖かな日和。勝負の春。
どうせ無駄、なんて私が私を諦めたのはいつだっただろうかー。
SNSないしインターネットには日々さまざまな情報が飛びかう。その中でも特に目につくもの、オタ活Vlogだったり、友人との誕生日会...。そこには夜にキラキラと輝く都会のオフィス街が広がっているようだ。
一方、私はどうだろうか。代わり映えのしない日々、数少ない友人...。まるでチカチカと点滅する地元の古びた街灯のよう。
日に日に削られてゆく自尊心。皆と同じ暦を歩んでるはずなのに、私は高校1年の春から1歩も進めていない。
そんな頭の中でぐるぐると考えていた時、別冊のページを開けとの指示が出る。
机の中に手を入れてそれを探そうとした時、カサリと何かが手に当たる感覚がした。
それは宛先のない淡い橙色の包みだった。
誰かからの告白...なんて淡い期待を持ちながら封を開ける。
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ー10年前の私へ。
お元気ですか?きっと今の貴方は外界からの様々な情報により時が止まったかの様な、自分だけが取り残された様な気持ちを抱えてるかと思います。
そんな今を、自分なりに必死に生きている貴方に伝えたいことがあります。
10年後の貴方は、あなたが想像しているキラキラとした何者かにはなれません。
けれど、本当の私になることは出来ます。
この瞬間に目を向けて。
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何者かになれなくても、私にはなれる...。
綴られている言葉は矛盾しているように見える。
.......けれど
教師が話す言葉に耳を傾けてみる。
分かりにくい独特な表現は嫌い。でも、その言い回しは嫌いじゃない。
もう少し自分の知らないものを知りたい。
未来を見てみたくなったかも...なんて。
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読んでくださった方の未来が少しでも明るくなりますように。
2/16/2026, 6:40:10 AM