もんぷ

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燃える葉

 小学校四年生の時、林間学校で落ち葉を燃やしてさつまいもを焼いた。熱を持ったアルミホイルから取り出したそれはとてもおいしくて、すぐにペロリと平らげた。すると隣に座っていたその子だけはさつまいもに手をつけず、じっとこちらを見ていた。食べ終わってほくほくした顔の自分と目が合う。いる?と差し出されて迷わずいいの?!と貰う。遠慮なんて知らずにがぶがぶとおいもを食しているとその子が笑った。訳もわからず自分も笑い、そこからキャンプファイヤーが始まってみんなで輪になって手を繋ぐ。その子の手は自分の手と違って冷たかった。やっぱり食べて良かったのかななんて今更不安になってその子の顔を覗き込むと、いも嫌いだから食べてくれてありがとうとそれは爽やかに微笑まれた。多分、それが初恋。

「でさ、その時のあの顔にやられたの!」
「なあもっとマシなタイミング無いわけ?もっと早くからアプローチしてたんだけど?」
そう不満気に声を出す彼の左手には度数の弱いお酒、右手にはおつまみの芋けんぴ。あ、別においも嫌いじゃないんじゃん。そう気づいてしまえば、アルコールのせいで赤くなっていた自分の顔により熱が籠ったような気がした。今年も葉が燃える季節がやって来た。あの頃と一つだけ違うのは、繋いだ手の熱さが彼も同じということだけ。

10/7/2025, 3:27:00 AM