「私だけど私ではなかった」
使われなくなった旧校舎の3階にある9-1と言う教室、そこにはひとつの全身鏡があった。
中学校入学式から4ヶ月程度たった夏休み、初めて入った時には慣れなくてドキドキしていた部室も今となっては当たり前の景色になっていた。親が部活には入るように言ったのでとりあえず簡単そうな映像部に入った、私は昔から地味で特徴と言えるものがゼロだった、だから小学生の時のあだ名は「ミジンコ」、地味子を少し改良してそうなったらしい。中学生デビューもしないで入学してしまったので今ではやりずらくなって後悔ばっかだ、映像部のメンバーは3年生の部長、あと幽霊部員の副部長、そして私の3人だ、しかし実質2人。何もすることがなく窓からプールを眺める、ジメジメした空気の中あそこだけは涼しそうだった。バンッと音を出して先輩が立ち上がる
「結子ちゃん!涼しくなる映像作ろうよ!!」
急に声を出されたのでびっくりした。
「…涼しくなる映像ってなんですか?」
乾いてからからになっている喉から声を絞り出す
「夏といえば心霊!学校の七不思議!ねぇ、楽しそうでしょ!」
学校の七不思議、物語ではよくあるけれどこの学校にもあるのは初耳だった。
「休み明けには部活発表もあるし、その時ようにでも作ろうよ!」
実際起きるかは別として私も怖いものは好きだし興味がある。先輩は乗り気な私を見て説明をしだす、
「まず1つ目、保健室の改造部屋。昔この学校では神隠しに合う生徒が多くいてその大体の生徒がいなくなる前に保健室を使っていた、怪しく思った警察達が保健室に入ると奥によく分からない部屋があり、扉を開くとちょうど中学生くらいの人体模型がずらっと並んでいて、、」
凄くありきたりな話しすぎてあくびをしてしまいそうになる、足早に保健室に向かう。中には先生はいなかった、先輩が慎重に探索をするけれどそれらしき部屋はひとつも無かった。咳払いをする声が後ろからして振り返ると、保健室の先生だった。先輩と一緒に部室へ早歩きで戻った、
「まぁ、気を取り直して2つ目!3年生教室の2つ離れた準備室には、戦前の生徒が手を振ってこちらに来るよう手招きしてくる!!」
あまりの迫真さに少しぶるっとくる、恐る恐る準備室に向かう。扉を勢いよく開けると、、生徒会が会議中だった。恥ずかしさでまた走って部室に戻る、生徒会が使っているということは幽霊は出ない事が分かった。
「じゃあ3つ目!グラウンドにある倉庫はあちらの世界と繋がる扉がある!」
あちらと言うのはきっと幽霊の世界の事だろう、周りには誰もいないことは確認済み、先輩と一緒に倉庫に入る。けれど何処にも扉は無かった。
「次!4つ目は、校舎裏の使われない焼却炉の前には稀に人の骨が落ちている!」
先輩が言うには昔間違えて落ちてしまった生徒の幽霊が見つけてもらうために骨を落としているらしい。窓から焼却炉を見る確かに何か白い何かが落ちている、私達は急いで下に向かった。降りてその物をよく見ると誰かの数学のテストで19点、私達は何も見なかった事にした。
「あと3つ、どれがひとつぐらいは本物であってほしいな。えっと、5つ目!屋上に繋がる階段には幽霊がいて降りようとすると背中を押して仲間にしようとしてくる!」
少し信憑性がある話に心が引かれて階段に向かう、登りは何も無く降りようとする、何か違和感がある。1歩降りるとチャ、チャ、と音がする、私が立ち止まってもその音だけはする。先輩の方を振り向いて足元を見る、、心配して損した。
「先輩、靴紐ほどけてますよ」
靴紐が地面に当たってなっていたみたいだ。
「あっ!踏んだら危なかった!」
靴紐を結んでまた降りる、音はしない。さっきの涼しさはただの思い込みだった。
「6つ目!木工室の1番近くにある水道には虐められていた女の子の声が聞こえてくる。」
木工室に向かう、そこはあまり誰も使わないのに木の匂いが凄くした。水道の前に来る声は聞こえない、この暑さで喉が乾いていたので水をがぶがぶ飲んだ、結局6個のうちひとつも起きなかった、7個目の結果も予想が着いていた。
「最後のひとつ、7つ目!旧校舎の教室には人を狂わす鏡がある!」
そもそも、私は旧校舎なんてあるのを知らなかった。
私達二人で誰にもバレないように旧校舎に入る、そう言えばどの教室かを分からなければ探すことも出来ないことに気づいた。
「先輩!その教室は何年生の教室なんですか?」
後ろから聞くと、一瞬ビクッとして答えた。
「それは、、分かんないね!」
凄く適当に返ってきた返信に少しいらっとしたけれど、ここの旧校舎は雰囲気があるので期待出来た。
「じゃあ、手分けして探そうよ!結子ちゃんは3階だけ探して!私は1階と2階を探索してみるから!」
1人は少し怖いけれど言う方が恥ずかしかったのでそのまま3階に向かった、当たり前だけど誰も居なくて廊下が凄く長く感じた。きっと2階に3年生の教室があるのだろう、1番初めに1年生の教室があった。中に入ると机と壁には日本国旗が貼られていた。肝心の鏡は無くてすぐ隣の2年生の教室を見に行った、沢山の長机が並んでいてその内のひとつに学級日誌の様なものが置いてあった。中身を見ると全て黒で埋め尽くされていた、なんだか怖くなってすぐ廊下に出る。そしたら、空気がスっと冷える気がした。後ろから足音がする、薄目で振り返ると同い年くらいの子がこちらを向いて立っていた。私は声を出すよりも前に足が全速力で動いた、この長い廊下を走って走って走った。体感で5分くらいだった、後ろを振り返るとその少年は居なくなっていた。近くの教室に逃げ込むと、本当に鏡があった。
「あっ、本当にあった。」
ゆっくりと近づくと、自分が写っているはずだった。けれど、写っていたのは私なんだけど綺麗で可愛い私だった。私がなりたくてしょうがなかった自分自身だった、おかしいし、はやく戻るべきだと分かっていてもその場に立っている足が動こうとしない。視線を今の自分におとす、鏡とは全く違くてボサボサな髪に大根みたいな太い足オマケに小さくて太い指。クラスのみんなとは全然違う汚い自分だった、なのに鏡の私はくるんと巻いた可愛い髪に、みんなみたいにほっそい腕と足、顔はニキビのひとつもなくて目はパッチリした二重、とっても羨ましくてとっても恨めしい自分。お母さんは可愛いいっ言ってくれるけど、私は何度も最悪だって思っている。鏡の自分が動く
「貴方にはなりたい自分がいる、色んな人に注目される可愛くて綺麗な自分。なりたいでしょ?」
明らかに現実とは思えない光景、でも私の心を言い当ててくる鏡の自分、彼女は、鏡の私は手を出してくる。
「この中にいれば私がずっと貴女を見てあげる」
なにか良くないと分かっていながら手を取ってしまい、入れ替わる
鏡の中は真っ暗だった
3/29/2026, 4:37:12 AM