-暗がりの中で-
ぐすっ…ぐすっ…
暗闇で誰かが泣いている声がした
どうしたの、泣かないで…
目を開けるとほんの微かに泣いている声が聴こえた。
夢、じゃなかった。時計を見ると深夜3時。
寝室からそっと出るとリビングも、彼のいる別室も真っ暗だ。
ふっ……うっ…ぐすっ…
彼のいる部屋から聴こえる声に段々目が冴えてくる。
ぼんやり優しいルームライトを付けて、お湯を沸かした。
お湯をティーポットに入れて容器を温め、茶葉を取り出す。
落ち着く匂いは…この匂いかな…と、アッサムを選んだ。
茶葉を多めに取り、コップに少量お湯を注ぎ茶葉を浸す。
牛乳と水を2:1で注ぎ沸騰しないように混ぜながら鍋で温める
ふつふつし始めたら火を止め、茶葉を合わせ抽出。
確か…5分くらい?だったはず
その間にお茶菓子を漁り、この間お土産でもらったフィナンシェを取り出す。
あとは…
『創造ーー』
やおももちゃんの能力のコピー。
この能力は本当に凄いと思う。ふわふわ素材のぬいぐるみを創造し大きすぎるクマのぬいぐるみを作った。
リビングに私の部屋に彼によって置かれた花を持ち出し飾る。
綺麗にティーセットを並べた。
抽出した紅茶をティーポットに淹れ、準備はok
クマのぬいぐるみを抱えながらアモンの部屋へ向かった。
コンコンっ
と控えめにノックをすると泣き声がピタッと止まる。
狸寝入りをするつもりかな…勿論、そんなことは私が許さない。
そっとドアを開けて
『真夜中のお茶会でもどう?頑張って準備したんだ。…待ってるよ』
そっと呟いてリビングに戻った。
彼はきっと来てくれるだろう。
数分と経たずに、彼がリビングに来た。いつものような明るい笑顔は無く、表情は暗かった。
『おいでアモン、教えてもらった紅茶の淹れ方で用意したんだ。』
立ち上がるとビクッと彼の肩が揺れた。
それを見て、なるべく刺激しないよう、アモンに座ってもらうために椅子を引く
『今日は私がおもてなし。さぁ、どうぞ』
「……」
静かにアモンは近づき、椅子に座った。
紅茶を注ぐと、彼の前髪が揺れる。
10/28/2023, 11:52:51 AM