時を止めて歩き出すとまるで別世界に来たように感じた。人々は微動だにしない。石像のようだ。ふと足を止めて一軒の店に入る。いつもは流れているBGMは息を潜めている。そのままテーブルに腰掛ける。何かを煮ていたのだろうか厨房から美味しそうな香りが漂っている。その時だった。「あの、すみません。」
誰かが戸を叩いた。私は急いでトイレの中に隠れる。
誰か入ってきた。おかしい。時を止めたはずなのに。「ここにはいなさそうだなぁ」男はそう言うと出ていったようだ。ドアのパタンとなる音が響いた。恐る恐るトイレのドアを開ける。すると「見つけましたよ」
そこには仮面を被った男がいた。「あなたに依頼したいことがあります」そう言って男はお辞儀をした。
11/5/2025, 10:11:49 AM