学校の敷地内にある大きな弓道場で「カン」と鳴り響いている土曜日の午前
部活に来ている生徒も多く、グラウンドでは掛け声とともに走り込みをしている
そんな中、私はまだ誰も来ていない一人の弓道場で、ゆっくりと集中して練習を始めた
何回か練習したあと、誰かが近づいてくる気配がした
先輩だ
憧れの先輩が袴姿で弓道場に入ってくる
「おはようございます!」と静かに挨拶を交わし
私は先輩と並んでひたすら練習をした
一息つこうと水を求めて下がろうとした
けれど、私はその場から動かなかった、いや動けなかった
先輩がチラッとこちらを見たのだ
私は憧れの先輩のふいのアイコンタクトに少しドキッとしてしまう
私が動かないでいると、先輩は練習の再開として
弓をひきはじめた
私の瞳は先輩の弓を引くモーションに釘付けになる
その時、一段と大きな
「カン!」という弦音が響いた
その瞬間、胸の鼓動も大きく鳴った気がした
胸の鼓動
9/9/2024, 9:27:19 AM