あなたは弾丸だった
優しくて温かくて離れがたくて、ゆえに残酷な鉛玉
気障な言葉で飾ってみても
本当に撃たれたことなどないのだけれど
私を貫いたあなたは空へ消えて、二度と戻らなかった
寄る辺のない心は一向に根を出さない
風の凪ぐ街、大樹のそば、向日葵の咲く黄金の海の中も
噴き出す想いを慰めてはくれなかった
汗だくになるほど暑いのに、寒くて
誰も振り向かない街並みが穏やかで、寂しかった
報われないと分かっているのに
たとえ四方八方から刺されても
胸が騒いで仕方なくて、飽く暇などなくて
毎日、街灯の下で待つのをやめられなかった
鳥が鳴き始める頃、月が何度巡っても
きっと約束を果たしに帰ってくると信じていたくて
あなたのことを勝手に背負って泣き暮れていた
全て捨ててしまえ
初めから無かったのだと繰り返し刻み込む
胸に穴を開けた痛みも、焼け付く熱も、滴る血も
初めから無かった、何も失ってなどいない
馬鹿な私
赤く赤く染まる視界の中、けれどあなたを忘れられない
何度だって指切りをする
照れ臭そうな、そのくせ強引なあなたが好きだった
些細な悪戯で振り返る
大袈裟に怒って、呆れて、また笑ってくれる
晴天のようなあなたのことが好きだった
堕ちた鉄塊から悪魔が生まれる前に
最後の一発はこの時の為
私も弾丸になって羽ばたくの
(!マークじゃ足りない感情)
8/15/2025, 12:14:25 PM