のぞみ

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あいまいな空

今の私の心を言葉で表すと「あいまいな空」だ。
自分の気持ちがわからない。
自分は本当に小説家になりたいのか。
それとも、親から進められた仕事について楽になりたいのか。
夢なんてないほうが良かったのかもしれない。
なにもかもがあいまいだ。
そんなどうしようもない気持ちを自分の彼氏の佐久(さく)に言ってみる。
誰かに自分の悩みを相談したのは初めてのことだった。
泣くつもりなんてなかったのに私はいつのまにか泣いていたようだ。佐久は私の涙をそっと優しくぬぐって優しい表情で言った。
「うん。話してくれてありがとう。
ずっと、那津(なつ)は苦しそうにしてたから相談してくれて嬉しかったよ。」
そうんなことを言われてもっと泣いた。
「じゃあさ?もしも那津が親からも何も言われないし、
自分の好きなようにやってみたらいいって言われたら那津はどうしてた?想像してみて?」
どうしてたんだろう?
何も周りのことを気にせず、自分のことだけを思って生きる。もしも、そんな現実だったら小説家になるようにもっともっと、努力して小説をネットにあげていたかもしれない。
それを佐久に言うと、佐久は優しく頷く。
「うん。それが那津の思いだよね。
でも、那津の想像通り現実は思い通りになってくれない。だからと言って那津が今この気持ちに折り合いをつけなかったらずっと苦しいままだよね?
だから僕は那津には前に進んでほしい。」
佐久・・・・・。やっぱり優しい。
「那津はやっぱり周りのことを考えずに考えたら小説家になりたいんだよね?
だったら自分の気持ちに正直になればいいんじゃない?でも、周りを気にしないって難しいじゃん?
僕はね、親は関係ないと思う。親に支えてもらわないと僕達はまだ生きていけないわけだけど、親の人生じゃないんだよ?親の言うことも自分を思って言ってくれてるから大事だろうけど、やっぱり自分が納得いかないと、ずっともやもやしたまんまじゃん。
だからまずは自分の納得いくまでやってみなよ。」
そうだよね。私は小説家になりたいんだ。
だからこんなに悩んでまで夢を諦められずにいる。
「ありがとう、佐久!私自分のやるべきことが見えた気がする。」
「力になれたなら良かったよ。
でもね、これだけは約束して?
1人で考えるのもいいけど、限界な時は無理せず、吐き出して?じゃないと、自分の中だけに溜め込んでたらいつかパンクするよ?」
佐久はいつも私のことを考えてくれる。
本当に最高で自慢の彼氏だ。
「これからもよろしくね!佐久!」
私の心はあいまいの空ではなく、青空に晴れていた。

                       完

6/14/2023, 10:44:18 AM