かきくけ子

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目が覚めると
僕は空を飛んでいた。
っていうか
窓のひさしに並ぶように浮いていた。

真っ青な空を見上げると
鳥みたいに大空の向こうまで
飛んでみたいなと思うことがある。
でも、今僕は中途半端な高さで
浮いている。
これじゃあ友達にも自慢できない。

手足をバタつかせたら
泳ぐように前に進むようになった。
屋根の上でネコのタマが
にゃあとないた。
ついてこいといわんばかりに
タマは歩き出した。
僕はおいかけた いや、
追い泳いだ。

平泳ぎをしながら下を見ると
僕の庭があんがい小さく
隣の庭の方が大きかった。
お父さんとお母さんの話し声が
上に上がってよく聞こえた。
家の横にある柏ノ木も
こんなに大きくなったんだ。
タマから見える世界は
こんなにも違うんだな。

タマが柏ノ木に飛び移った。
僕も枝をつかみ、足を幹に引っ掻けた
そのとたん地面に引っ張られるようにするすると落ちていった。
身体を強く打ってしまい
辺りを見回すと
あれ
僕の部屋にいる。横にベットがある。

けんちやん、
またベットから落ちたんだ。

お母さんがドアを開けて言った。 
外にいるタマが
窓から僕を見ていた。

#324

12/22/2024, 6:54:36 AM