neon.

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『手のひらの宇宙』

私は部屋で一人寝転がって、手のひらに乗せた小さな宇宙を眺める。名前の分からないそれは、透明なガラス玉の中に宇宙を閉じ込めたような見た目をしていた。
キーホルダーになっていて、前までは通学カバンに付けていたが、今はもう引き出しの中にしまったままだった。
左右上下に動かすと、太陽の光を反射して、中の星がきらりと光る。
これは、彼女とプラネタリウムに行った時に買ったものだった。同じものを彼女も買って、お揃いで身につけていた。彼女は恥ずかしいと少し嫌がっていたけど、私は二人で同じものを身につけていることが嬉しかった。
こっそり付けている彼女が可愛くて、からかって拗ねられたことを覚えている。
あの時の私は、こんなことになるなんて思いもしなかっただろう。
彼女と私が歪な関係であってもなお、心のどこかでずっと一緒にいられると信じきっていた。
でも、今はもう彼女と会うことは叶わない。
私たちは、最初から幸せになんてなれなかった。
そのことに気づいたのは、一年前。
カメラの方を一切見ずに目を伏せながら画面に映る彼女。
テレビの画面では物騒な文字が流れていく。
私はそれを、ぼんやりとした頭で見ていた。
数ヶ月後、夕食を食べながら見ていたテレビに「死刑」の文字が映った。
箸が手から落ちる。
一瞬だけ、心臓が止まったような気がした。
同じ宇宙にいても、私の全く知らないところ、知らない時に死んでしまった彼女。
誰もが死んで欲しいと思うような悪人でも、私だけは生きて欲しいと願っていた。
私はキーホルダーのチェーンを手に痕がつくほど握りしめる。それでも宇宙は変わらず、手の中できらきらと光り続けた。

1/18/2025, 12:39:41 PM