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遠い記憶もまた刹那


以前、長崎の無言館で

戦時中の画学生の作品展示を

観に行ったことがある。

繊細に、丁寧に、

紡がれたそれは、

どの作品にも

重みがあり、

深みがあり、

愛があった。

どこか切なさも感じられるような

ひだまりのようなあたたかさ、

けれど説明的ではない

極めて純粋な

実直で洗練された作品たち。

生が当たり前となったこの時代に、

このような絵はもう描けない。

瞬間、瞬間を大事に生き、

愛する人との日常を、何気ない風景を、

一瞬を、大切に描き止めている。

現状を

受け止めながらも

向き合いながらも

絵を描き続けてきた画学生たち。

当時の刹那的瞬間が

身にしみて伝わった。

4/28/2024, 4:17:35 PM