一匙

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イルミネーション

街中のイルミネーションより、帰り住宅街で見るイルミネーションで飾られた家が好きだ。
ギラギラしていなくて、閑静な場所でぼんやりと光る様子が好きだ。
冬になったから、クリスマスが近いからと計画をして家を飾りつけたのだと想像するとほほえましい。手間が愛しい。

街灯の少ない道を歩いて、蛍光灯だけが頼りのアパートの廊下を通って少し寂しくなる。
ひとりでも平気なのに、冬は寒さからくる本能か寂しくなる、のだ。

これが私の日常、生活だ。寂しくてもどこかで満たされてまた明日の生活のために生きている。そしてまた寂しくなる。この日常を嫌いになれないどころか、愛しいと思うのだ。間違えなく、矛盾であるのに。その矛盾が人間の持つ特別な機微だと信じて今日もささるような冷たい空気を肺に取り込む。

12/14/2022, 8:42:38 PM