烏兎

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お題:言葉にできない
 桜は何を思うのか。花びらが、そぼ降る雨粒の重さに枝垂れ、やがて耐えかねぷっつりと地面へと落ちる。ひとひら、またひとひら、ひら、ひら、と。
 雨はやまない。明日も、明後日も、まだやまないと天気予報は言っていた。
 昨日、花の盛りを迎えた桜への慈悲か、無慈悲か。幸か不幸か。刹那にして永遠で、美しくて、みすぼらしくて。
「ああ、なんて言ったらいいのだろう。悲しくて、嬉しい、みたいな」
 すべての対義語が、同時にそこにあった。少なくとも私には。ならば、いま、桜は何を思っているのだろうか。

4/11/2024, 11:29:30 AM