薄墨

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シャツなんか入れちゃって。

ボタンも上まできちんと留めて。

片膝を立てて。

不意に、取り繕ったキザな仕草で、歌うように折りとった花を差し出す君の、

いつもより大人に取り繕った覚悟の中で、

言葉だけは

「大好き」と

素直で子どもっぽく、年相応のいつも通りの君で。

それだけでなんだか安心した、あの日。

もう戻れないあの日。

私はあの日々が、あの時の君が大好きだった。

そんな記憶が、まだ、私を生かしている。

生きるのを躊躇う私を

もういない君の、あの日だけがまだ…

3/18/2025, 5:29:55 PM