9/13「夜明け前」
闇が終わりを告げ、薄青が支配する特別な時間。
お母様の言いつけどおり、私は帰る。静まり返った森を抜けて、町から少し離れた館へ。
ここは誰も来ない。町の住人には恐れられている。時折、命知らずの冒険者がやって来るだけ。
カーテンを閉めて地下に降り、彼らのための罠のスイッチを入れて、私はお母様の棺を開け、隣に横たわる。
「お帰りなさい。また入って来るの、甘えっ子ね」
そう言いながらお母様は私を抱き寄せる。
「今日は4歳の子どもを吸ったの」
「そう。美味しかった?」
「とっても!」
もうじき夜が明ける。どんなに甘い血の味がしたかをお母様に報告して、私は次の夜まで眠りに就く。
(所要時間:8分)
9/13/2023, 11:33:27 AM