彼が捨てた日常に、彼が願ったものはなかった。
家族も富も権力も、なにもかもに恵まれて不満を持つことさえも妬まれるものだっただろうに、そんなものを一切感じさせずに、彼はすべてを捨てた。
何がそんなに彼を悩ましていたのか、
ずっとそばにいたはずなのに気が付かなかった。
けれど気づいた頃にはすべてが遅く、
彼は一度も振り返ることなく去ってしまった。
「叶えたいことがある」
と、その一言だけを残して…。
【日常/花冠】
〘※未消化お題 4/26分〙
あなたがきっと正しいのかもしれない。
そして私がきっと間違っているのだろう。
けれど私は私の行いを間違いだとは思わない。
私にとってそれは正しいことだから。
善悪というのは人それぞれに違うもの。
あなたにとっての悪が私にとっての善で、
私にとっての善があなたにとっての悪ならば、
―――…ああ、私たちは初めから
理解りあうことなどなかったのですね。
【善悪】
6/22/2024, 2:55:10 PM