半袖。
珍しい服装だった。
だってここじゃあ、
真夏でも10℃を下回るから。
白雲峠は深い峠だから
日陰ばかりで中々暖まらない。
1ヶ月ぶりに機織り機を使っていた時、
狐に似た人が
少し奥の方を見ているのが見えた。
視線の先には
半袖の白いシャツに
ハーフパンツ、
長い黒髪の少女がいた。
早朝だったから
ネブラスオオカミはまだ寝てて、
襲われる心配はないんだけど、
霧が少し出てたから
危ないと思ったのかな。
狐に似た人は駆け寄って
道案内をしてた。
けど狐に似た人は
すぐに困り眉になった。
白雲峠を越える人は
今までに何人かいたが、
どうやら用があるのは白雲峠のよう。
ネブラスオオカミは
起こしちゃ悪いし、
狐に似た人はテキトーに
趣味でほっつき歩いてるだけだから、
私にその少女の道案内が託された。
少し分厚めのカーディガンを貸して、
ランタンで霧をかき分けながら進むと
少女は目的地がここだと言って
私を引き止めた。
そこはひっそりとした
滝がある池で
最近の私のお昼を食べるスポットだった。
"Good Midnight!"
少女は池に飛び込んで
ガラスの花を咲かせる方法の紙を
池の底から取って戻ってきた。
7/25/2025, 4:11:51 PM