あなたがすき

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照明を落とさずにベッドの上でうつらうつらと頭を傾げていると、ふと夢と現実の狭間のような場所に陥るような感覚をおぼえるときがある。
まさか本当に寝入ったわけではないが、少なくとも起きてはいないものだから、非現実的な空想ばかりが視界の隅で蠢いているばかりで一向にすっきりしない。疲労からそんなふうに見えているのか正気でないのかわからないが、そういうときは大抵、見たことのない人間が目の前に立っている。わたしは何故だかそれを受け入れて、手を広げることはせずとも静かにその人間が近づいてくるのを眺めて待つのだ。
あたまがおかしくなってしまったのだろうか?
徐々に縮まる距離と比例して、わたしの瞼はより重くなる。
目の前に来る頃にはそれは完全な空想になっていて、現実から切り離された場所にいる。体はまったく言うことを聞かず、しかし不快というわけではなく、まさに寝入る直前の身体中の暖かさばかりが包み込んでいるが、心はすっと冷え込んでいるのだ。正面のそれを抱きしめてみれば少しくらいは内側の淋しさは埋まるだろうか。
そういえば脳は完全に正しいわけではなく、勝手に補完して正しいと思い込んでいるだけだというが、この夢と現実の狭間も完全に妄想ではないのかもしれない。
ならば眠りに落ちる直前にだけ会う彼らも、私と同じように夢と現実を彷徨う淋しいひとなのだろう。

脳裏をゆらめく曖昧を抱けばうつろすら温か。


眠りに落ちる直前に見る、ぐにゃぐにゃとした景色はどこまでが現実なのでしょう。手足が暖かくて、感覚が鈍くて、頭がぼうっとしてきた時だけに見るそれらが大好きです。頭の中と外側がつながっているような気分になれるので。

脳裏

11/9/2024, 11:09:21 AM