ネジが外れたウサギ

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人間を怯え、ちっぽけでしっぽがちぎれてる猫の僕に

少女の君は愛を与えようと、

「ご飯だよ」と言って魚が入った底の浅い器を

そっと差し出してくれた。

だけど、僕はそれを少ししか食べられなかった。

お腹は空いていたけれど、毒は入ってなさそうだけど

そういう理由では片付けられない思いがあった。


ただ、怖かった。

屈託のない笑顔を見せる君が

突然、ナイフでしっぽを切ったあの人のように

悪魔のような本性を現すんじゃないかって。


でも、違った。

屈託のない笑顔を見せていた君は

一年経った今でも裏の顔を見せない。

もしかしたら、数日前の君の涙がそれかもしれない。


本当は君と僕は人間を怯えて生きていて、

明日が怖いと嘆いてる、

ちっぽけな自分という名の着ぐるみを着た生き物かも

もし、そうだとしたら

君へ少しでも恩返しをできるだろうか?

4/12/2025, 4:37:34 AM