りん

Open App

私はあまり泣かない。でも泣き虫だ。
なぜなら、時々透明な涙が出ることがあるから。

Bくんに虐められたとき、涙が出そうになったけど、泣いた方が負けだから泣かなかった。いつも目元には透明な涙がついてて、お母さんはそれに気づいていたらしい。学校でのこととか、いっぱい聞いてきた。そんなときは透明な涙を拭いて、「楽しいよ!」と答えるんだ。

いつしか、標的が友達のCちゃんへ変わったとき、私はいじめっ子グループの中にいた。でも、私と同じ思いをしてほしくなくて、直接的なことは避けていた。なんなら、消しゴムを隠して私の消しゴムを筆箱に入れていたり、悪口を言う流れになりそうだったらそれとなくトイレに連れて行ったりしていた。それが私の精いっぱいだった。
Cちゃんが目頭を濡らして「本当はわかってるよ。私、大丈夫だから。」と言ってくれたとき、なんでか、なんでかわからないけど透明な涙が溢れた。なんでかわからないけど。

高校生になって、いじめがなくなった。部活に勤しんだ。1、2年生のときの大会は負けてしまって、透明な涙を毎年流していた。今年こそ勝つぞ。

頑張って、頑張って、頑張って。でもちっとも上手くならなかった。ほんとの涙か汗かわからない。全く視界が開けなかったとき、Cちゃんが言った。「大丈夫、頑張ってるもの。そのうち上手くなるよ。本当はわかってるよ。人一倍努力してること。」なんだか、辺りに色がついた。

3年生の大会、緊張が走る。練習したことを思い出しながら完ぺきにこなせた。なんと、優勝だ。

本当の涙を流しながら、Cちゃんと抱き合った。

そんな私はもう、大学も卒業して社会人。上司にしかられて、ミスをしてしまって透明な涙が出ることもあるけど、本当の涙は今お腹の中にいるこの子の為に溜めているところです。

1/16/2025, 3:28:17 PM