NoName

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ぱちはちと木が爆ぜる、心地よい音。
オレンジ色に照らされ、柔らかい表情をする君。
自宅じゃ味わえない開放感。

「準備してるときは大丈夫かなって心配だったけど…来てよかった」

温かな炎を見つめながら君が言う。
つられて僕も笑う。

「ね、なに話す? やっぱり恋バナとか? 古いかな?」
「なんで恋人といるのに恋バナするのさ…」
「普段とは違う雰囲気の中で、本音を伺おうかと思いまして」
「だからってわざわざ…」
「ほらほら、マシュマロ準備して。あっ、ココアも淹れてよ、やっぱ甘い物が無いとさぁ…」

なぜか張り切りだす君に、はいはいと苦笑する。
夜はこれから。
二人きりでどんな話をしようか。

『灯火を囲んで』

11/7/2025, 2:02:14 PM