テーマ:8月31日 午後5時 (一次創作)
四季いちばんの音色【5】
夕方の公園にて…
「あぁ、夏が終わる…」
ゆりあはベンチに座って元気なく呟いた。
夕日を眺めて夏を振り返る。
高校3年の夏、青春が終わる。楽しかったなぁ。
夏祭りも、海水浴も、何もかも…。
あの日々が恋しいよ…。
「ちょちょ、俺のこと忘れてる?」
隣にいた蓮央がつっこんできた。
(そういや、黄昏れていて存在忘れてたな)
「ごめん、夏が終わるのが寂しくて」
苦笑いしながら謝るゆりあ。
「はぁ〜、お前は…」
ため息をつく蓮央。
「でも、青春はあと半年ほどあるよ、
夏だって来年も訪れるし」
蓮央が夕日を眺めて呟く。
その姿はとても爽やかだった。
「うん、そうだね。ありがとう、蓮央」
なんか元気が出てきた。
そして、2人は公園をあとにした。
帰り道の坂道…
「そういやゆりあ〜」
「ん?何か?」
「お前、この夏勉強していたか?」
「そりゃあ、課題きちんと終わらせたわよ」
得意気に語るゆりあ。
「じゃあさ…」
蓮央が顔を覗き込むように言う。
「大学受験の勉強は?」
2人の歩みが止まる。一瞬沈黙が流れる。
「……えっ?」
「俺は養成所行くけど、将来のためにある程度した」
「………」
「まさか…やってない…とか?」
ゆりあの口が半分開く。そして、
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
気づいた声が夕空にこだましていた。
8/31/2025, 1:19:58 PM