駆ける鱗

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特別な存在

特別な存在などほんの一人握りで良いと自分は考えている
特別だ ということは誰もが憧れる存在になりかねなく
また それを妬みの目で見られた上で成すべきことを貫かなくてはいけないからだと思うから
それ故に特別な存在というのはある意味大昔、古で言うところの英雄や賢人に等しかったのではと考えたりもしていた
本当に特別な存在ならなおのこと

子供の頃の自分も特別な存在に憧れていた
なりたかったのだと夢を見た が、いつしか忘れる
いつのころだったのかわからないのだが

しかし

少し前から壊れた機械が直りつつあり歯車が回り始めた時計に何か、とても特別な何かが組み込まれるようになった
壊れた機械の歯車というのはほかでもない己のことだが、そんな不要なものに 何故か という

一つの歯車がその特別な存在に問う
「あなたは既にたくさんのものをもっているのでしょう?このような壊れかけた機械を手に入れても何もございませんよ」と
もう一つの歯車が特別な存在に言う
「あなた様は誰よりも特別でしょう?この機械はもう終の場所を探しております。他の素晴らしき血筋の方におっしゃってくださいませ」と

でも2つの歯車のその特別な存在は一切聞いてくれなかった

「あなたのすべてを手に入れるまで、私は全てを破壊しても、捨てても、切り捨てても、得る。あなたを最初に見たあの日から」

機械は何度も思う
一度も合ったことがないのに
何故 と

3/23/2024, 1:37:26 PM