私の目つきは悪い。
一重で、細長くて、眉尻が吊り上がった目だ。
そんな自分の目が、私は嫌いだ。
怒っていないのに「怒ってる?」と聞かれる事は多々あり、話しかけようとしても逃げられて、あっという間にクラスで孤立した。
前髪を伸ばしたけれど効果はなく、逆に髪の毛の隙間から覗く目が怖いとかどうとか。ため息が出る。
しかし、私が嫌いな私の目は、ある日突然日の目を見ることとなった。
いつものように登校している最中、若い男女にいじめられている猫を見かけた。本人たちは遊んでいるつもりかは知らないが、猫はどう見ても嫌がっている。
消えるような声で鳴く猫の声を聞いたら、いてもたってもいられなくなってしまった。
「あの」
若者達がじろりとこちらを見た。
話しかけてはみたものの、続きの言葉が出てこない。
人見知りの性格を忘れていた、大ポカである。
ただ、私が心の中でオタオタしている間に、若者達はどこかへ行ってしまっていた。「こえー」「何だよ」といった捨て台詞を残して。
今回ばかりは私の鋭い目つきが助けてくれたようだ。
「大丈夫?」
という私の問いに、猫はにゃあと返事をした。
10/15/2024, 12:49:47 PM