――こうして、お姫様は王子様と幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。
そんな幸せな物語、現実には存在しない。
近くで見つけた妥協の恋くらいしか存在しなかった。
でも、とうとう見つけてしまった。
王子様のような、素敵な存在。
だけど、それは選りにも選って、画面の向こうにいた。
まだ同じ次元に存在してくれただけマシかもしれなかった。
私はあなたに恋をした。
あなたに言葉をたくさん投げるけど、一緒にお金もたくさん投げるけど。
知っている。あなたにとって、私はたくさんの名前のないものの一つで、きっと知ることもないんだろうってこと。
いつかはきっとあなたなりの幸せを見つけて、目の前から消えてしまうんだろう。
それが、とてつもなく、苦しい。
わかっているのに。最初から、叶わない恋だということ。
お姫様は王子様と幸せに暮らせたけれど、お姫様になれない、何でもない私は、叶うことのない恋物語を終わりまでただ見続ける。
『恋物語』
5/18/2024, 2:38:59 PM