月下の胡蝶

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お題《裏返し》



神様に遊ばれるくらいなら、こっちが遊んであげる。



表舞台見事華やかに演じてみせましょう。



砂の楽園。


淡く染められた布が水面に散る。


月灯りを織り込んだような長い髪の少女は、氷青の瞳の少年に口づけをする。心身が溶けてゆくように、堕ちていく――美しい少女の鈴とした声とは遠いほど、その声は星屑糖(こんぺいとう)のようにあまい。




少年は思った。


この少女が神とするならば――《禁忌》かもしれない、と。





少女は神となり、少年と遊ぶ。




8/22/2022, 11:58:32 AM