五年後にまたおいでなさい、と貴女は優しく言いました。
約束ですよ、俺のことを待っていてくださいね。
俺は必ず、五年後に戻ってきますから。
それまでどうか、俺のことを忘れたりしないでください。
泣きながら、何度も何度もそう繰り返す俺の頭を優しく撫で、貴女は微笑みました。ええ、必ずまた会いましょうね。私は貴方を、待っています。
結局貴女は、俺と再会することなく亡くなってしまいました。
けれどそうだったからこそ、死後の俺は貴女の魂の守りに入ることを躊躇なく決意できました。
それからは、生前に貴女と過ごせなかった分の時間を埋めるかのように、俺は貴女を陰ながら助け続けてきました。良縁を運び、悪運を遠ざけ、貴女に心底の愛を注いできました。
俺は貴女の目に見えない、耳に聞こえない、手に触れることの一生ない存在になりましたが、それでも良いと思ってきました。
貴女がこうして、俺の言葉を聞き取れるようになったことは、俺にとってあまりにも過ぎた幸福です。
貴女と一緒に生きられなかった日々を、今代わりに過ごしているような気がします。
けれどどうか、俺がいることを言い訳にして、新しい人間関係を始めることを諦めたりはしないでください。
貴女はもっともっと、輝けるひとです。俺のような死者にかまけていないで、どうか貴女の人生を生きてほしいのです。
貴女にはもっと、真摯に生きてほしいのです。
11/13/2024, 2:55:04 PM