Theme:貝殻
子供の頃、「巻貝の貝殻に耳を当てると海の音がする」と聞いて試してみた。
確かに波の音がしたことをよく覚えている。
この貝殻の持ち主が故郷の海の記憶をしまっているのかなぁ…なんて思っていたけれど、実はちゃんとした仕組みがあるそうだ。
私たちの周りには常に何かしらの「音」がある。
図書館や自室などどんなに静かな空間にも、機械の駆動音や外を走る車の音、風の音など様々な音が存在している。
それらの音の高低が貝殻の中で共鳴し、耳に届く大きな音となって帰ってくる。
その音は周囲の環境と貝殻が造り出した音であり、それが「海の音」に聞こえるのはいわば思い込みなのだそうだ。
種明かしを見てしまうと「なーんだ」と少しガッカリするが、今の私には別の疑問が沸き上がる。
「じゃあもしも『海』を知る前のずっと幼い私が貝殻を耳に当てたら、何の音に聞こえるんだろう?」
風の音?ただの雑音?あるいは産まれる前に聞いていた音かもしれない。
分かりようもないのだけれど、だからこそワクワクしてしまう。
9/6/2023, 8:39:54 AM