三羽ゆうが

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ハッとして目が覚める。体内時計が狂ってしまったのかまだ外は闇に呑まれたままだ。

着信音がしてスマホの画面をつける。暗闇に慣れた目には刺激が強すぎる程眩しい。画面には“非通知”と書かれた文字が映し出されていた。男は不審に思うも、寝起きで回らない頭は自然と電話に出ていた。

「もしもし」

男は掠れた声で電話越しの誰かに話しかけた。音をつたって聞こえてきたのは、女性の声。

『もしもし、助けて頂きたいんです』

「どちら様ですか」

『…助けて頂きたいんです』

「……かける相手間違えてませんか」

『違います!私はあなたに、』

男は女性の言葉を遮り通話を終了した。ツー…と無機質な音が聞こえたのを確認し、スマホの画面を切る。再び男が布団に潜って眠ろうとしたその時、ピンポーンとインターホンが鳴った。

「…………チッ」

男は思わず無意識のうちに舌打ちをした。仕方なくインターホンの画面を覗くと、そこに居るのは見知らぬ女性。しかし何故か女性の姿はぼろぼろで、白い服には赤い何かが飛び散っていた。

『…助けて頂きたいんです』

先程聞いた声と一致している。気味が悪くなりインターホンの画面を切った。恐怖から一直線に布団へ戻り、包まる。ベッドの横に常時置いてある催眠薬を無理やり飲んで、ぎゅっと目を瞑り夢の世界へ強制的に旅立った。




ハッとして目が覚める。体内時計が狂ってしまったのかまだ外は闇に呑まれたままだ。

また変な夢を見てしまった。でもやめられない。男は“睡眠薬”をもう1粒だけ飲み込んだ。


『真夜中』

5/17/2024, 12:52:24 PM