NoName

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先端が赤くぬらぬらと光っている包丁を固く握りしめて、親友がこちらにゆっくりと近付いてくる。
1歩、2歩、3歩、と。
僕は息も絶え絶えで、引き攣るような息を繰り返しながら、ひたすら逃げ回るだけだった。

「んふ、君は、僕の親友だから、最後にしてあげようと思ったんだ。僕は君のことがだいすきだから、ゆうっくり快感を味わって欲しいんだ」

一言づつ区切りながら喋る彼は不気味で、体のうちから喜んでいることが分かる。まるで夢見る少女のように、頬が朱に染まっていて、気味が悪い

彼が僕の間合いに入ると、そっと僕の首にナイフをあてがって、乙女のように笑った

6/7/2025, 11:35:55 AM