John Doe(短編小説)

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アウトサイド・ザ・ホスピタル(フォー・フレンズ)


君は行ってしまったんだね
エスカレーターに乗って一人でさ
この薬品臭い病室から出ていったんだ
だけど君の気配はまだ残っている
君がいないだけで世界は我が物顔で廻ってるんだ

サングラスをかけた警官
花束を抱えた老婆
ブルーのキャップの少年
エリート風のビジネスマン
黄色いタクシーの運転手

この世界に君はもう居ない
あり得ないくらい普通がそこにあるというのに

君は僕のこと忘れてしまった?
僕は君を忘れたりなんかしない
たとえあの病院を電車の窓から見たとしても
忘れられるはずがないんだよ
ありふれた愛がまだあるのだから

サングラスをかけた警官
花束を抱えた老婆
ブルーのキャップの少年
エリート風のビジネスマン
黄色いタクシーの運転手

落ちてきそうな真っ青な空
昼間の空に浮かぶ白い月
キノコ雲
流氷が漂う海辺の電波塔
懐かしい誰かの告別式

でも僕はまだエスカレーターに乗れない
天の国の使者がそれを許してくれないんだ

高速道路沿いで君の夢を見た

世界は我が物顔で廻り続けている。

1/29/2024, 10:58:20 AM