桜みたいに、綺麗な姿の印象だけをみんなに残して、
散っていけたら、どんなに幸せなんだろうな。
消えたあとも、みんなの記憶に残るのは
枝に無数についていたころの鮮やかで美しかった花だけ。
桜散ったあと地に落ちて、車とか、自転車とか、
多くの人に踏みにじられた無数の花びらのことは
誰も覚えちゃいねえんだ。
しかし、人間ってもんはそうもいかねえんだよな。
蕾のときから散るまでも、その後も、
踏みにじられても生きてかなきゃなんねえ。
美しい期間より、美しくねえ期間の方が長い。
何なら、美しく咲けるかどうかもわかったもんじゃない。
ときどき、ものすごく無力を感じることがあるよ。
それでも、それでも
生きていかなきゃいけねえのが人間なら、
もういっそ、美しくない自分も愛するしかねえんだ。
散るためには、まず花を咲かせなきゃなんねえ。
てめえがてめえっていう花を愛さなきゃ、
てめえがてめえに水をやらなきゃ、
他に誰がてめえの蕾を守ってくれるんだ?
花開かせてくれるんだ?
咲くのも散るのもてめえの気分次第。
あの花は綺麗に咲いているのに
それに比べて自分は、と思うこともあるけどよ、
水やりを忘れずに、やれることをやっていこうぜ。
「桜散る」
4/17/2023, 12:02:28 PM