小説
おばみつ 千ゲン 迅嵐
夜明けには様々なものがあるだろう。
蛇を連れる青年は恋しい乙女への文を書いている。
桜色の髪を持つ恋多き乙女は人喰い鬼を一切り。
心に希望を携えた科学屋の少年は、人々を救う発明をして。
人の心を知り尽くしたマジシャンは、そんな科学屋の横ですやすや夢の中。
空色の瞳を持つ青年が少し先の未来を告げ、
赤き衣を纏い、ヒーローである青年が空からの刺客に銃を向けた。
彼らの迎えた夜明けは、皆等しく静かだった。
蛇を連れる青年は、恋した乙女の無事を願いながら。
桜色の髪を持つうら若き乙女は、恋した青年の安息を願った。
遊び心を携えた科学屋の少年は、横で眠る安らかな顔に少しのイタズラ。
人の心を知り尽くすはずのマジシャンは、知らずに少年との楽しい日々の夢の旅。
空色の瞳を持つ少しだけ特別な青年と、赤き衣というヒーローの象徴を脱いだ普通の青年は仲睦まじく寄り添いながら、短い短い幸せな休息を。
静かな夜明けは、彼らを優しく照らしていた。
2/7/2025, 6:05:33 AM