300字小説
勇者の親友に転生したので、魔王をサクッと倒してきます
「……くっ!」
勇者を魔王の攻撃からかばい、床に叩き付けられた瞬間、俺は思い出した。自分がこの小説の作者であることを。
「マジかよ」
家の階段から落ち、気が付いたら勇者の親友としてパーティの一員になり旅をしてきたのだ。そして……。苦戦する仲間に激を飛ばす。俺は魔王のことを一番よく知っている。
「ヤツの弱点は!」
「俺はここで。さよならは言わないよ。また会えるから」
国に戻る仲間を見送り、俺は目覚めた。あの後、頭を打ち、一週間ほど眠っていたらしい。喜ぶ両親にパソコンを持ってきて貰うよう頼む。立ち上げ、小説の文書ファイルを開く。
「ほら、会えた。ごめんな」
俺は魔王を倒したまま放置していた小説の続きを書き始めた。
お題「さよならは言わないで」
12/3/2023, 10:46:10 AM