りらるらり 小六

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私は寂しくなんかありません。もう四年生になったんですもの。一人でお留守番もできるし、一人で寝ることもできるのです。なのに、クラスの男の子にこう聞かれたのです。
「寂しいの?」
と。
「寂しくないわよ。私、強いもの。」
「もかちゃん、すごく寂しそうに見えるよ。どんなに強いヒーローでも寂しい時はあるんだよ。そのままだったら、辛くなっちゃうよ。」
その男の子は少し前まで虐められていた、けんたくんでした。虐められていたのを助けたのは私なのです。
寂しくなんか、寂しくなんかないわ。私は強いんだもの。お母さんがいなくなったって、お父さんと二人で生きていけるの。お母さんがいなくなったって……
「ほらね、もかちゃん、我慢してたんだね。」
あれ。私、泣いていたのでしょうか。けれど私は強いので泣いたりしません。
「私をからかっているの?」
「ううん、ほんとだよ」
頬に生暖かいものがつたいました。
「けんたが優しいせいよ。寂しくて泣いたんじゃないわ。寂しくなんか、ないもの。お母さんのことだって……」
本心を言えば、すごく寂しかったのです。寂しい時に優しくされたら、泣いてしまうではないですか。

                  『涙の理由』

10/10/2023, 10:29:31 AM