悪人だと言うには、世間の常識に足を引っ張られて。
正義の味方だと、言い切るにはこの両手は血で染まっている。
目的を果たすためだとはいえ、中途半端な立ち位置でいる自分に嫌気がさしてくる。
「✕✕✕」
相棒はそんな私を見て微笑む。私の道についていけなくなって、さよならをした人が多い中、彼だけは私のそばにいた。
「今日は何色がいい?」
なんでも良いよ、と答えれば彼は決まって赤を選ぶ。彼の好きな色だ。
「また、考えごと?」
「まぁ」
曖昧な返事に彼は苦笑を浮かべるだけだった。
爪紅を塗られ、手が出せないことを良いことに、彼は私の右手の甲に唇を落す。
「この先が地獄でも俺は最期まで傍にいるよ」
ホント、物好きだなぁ。
7/3/2024, 9:55:08 PM